新型コロナウイルス感染症発生以前より毎月積立をして奄美大島への旅行を計画しておりましたが、先月やっと計画が叶い、4泊5日で行って来ました。旅行の内容はと申しますと、個性ある面々が5日間一緒に旅をするのですから、いろいろハプニングも起こりましたが、笑って過ごせる楽しい思い出の旅となりました。
今回は旅の話ではなく、初めて訪れた奄美大島で知ったことを2つ、お話し致します。
1つは奄美大島に着いた日の夕食、予約しておいた居酒屋の店主が振舞う地元の料理と酒で満喫し、そしてここの名物の島唄を聞き、曲に合わせて体を動かし楽しんでいる時に店主がボソッと、「奄美も今年で返還70周年なんだよ」と話してくれました。奄美は琉球王国、アメリカ、日本と統治の歴史があることを初めて知りました。
アメリカに統治されたのは奄美群島で、奄美大島・徳之島・沖永良部島・加計呂麻島・喜界島・与論島などが主な島です。昭和28年(1953年)、12月25日、午前0時に日本復帰を果たしたのだそうです。沖縄が統治され返還されたのは毎年時期が来ると報道関係なども伝えるので周知しておりますが、奄美群島の件は聞いた事があるのかも知れませんが、記憶からは消えておりました。居酒屋の店主の一言は奄美のことも覚えておいてねと言っているような気がしました。
2つ目は奄美二日目、本場大島紬の織元を訪ねた時のことです。私たちは大島紬というと、どんなに高価であれ普段着というイメージがあります。訪ねた織元、「はじめ商事」の代表、元 允謙(はじめ ただあき)さんによると、「奄美では普段大島紬は着ません。着るのは結婚式などの式典の時に着ます。」と言うのです。そして鶴と亀のめでたい柄を指さし、「これなどは振袖に仕立て着る方もいます。」との事。
私は今まで大島紬は普段着で、大島を振袖に仕立てて着るという話を聞いた時に、紬は普段着であり振袖にするなど常識外れと言ってきました。しかし奄美の人は結婚式に大島紬を正装として着て出席すると言いました。
そういえば以前博多に行った時に、博多山笠の時期は締め込みに法被を着ると結婚式だろうが葬儀であろうが正装として出席できると聞いた事があります。場所が変われば風習も変わるものです。「本場大島紬は普段着」という決めつけを取消さなければいけないと思いますし、奄美では正装として着ていることを、きものを扱っている者として伝えて行かなければと思いました。また、奄美の人は自分たちの作ったものに誇りを持って着ているのだと感動しました。
行ったことのない土地を訪れることは、私の知らない環境・慣習に触れ新しい発見があることを知りました。これからも時間の許す限りまだ知らないところを訪ね、地元の人たちの話を聞きたいと思います。